ああ、田舎だな……。 まだ辛うじて昼間だというのに、この町にはさっきバスから降りた人達くらいしか人影がないし。 お母さんは迎えに行くねと言ってたけど、バス停のすぐ近くの駐車場には今、車ひとつ停まっていないし。 ちらりと腕時計を見ると、予定の到着時間より20分も早く着いていた。 「ん~、よっこいしょっと」 私は、重たい荷物を担ぎ直して歩く事にした。 お母さんが走る車のコースは大体解ってるし、ある程度歩いていけば実家まで一本道だからどこかで鉢合うだろうと思ったのだ。