君一色



気まずく下を向く私を見て、彼は優しく笑った。


「おはよう。―――お腹減ったでしょ?」

「あ………」




普通に“おはよう”と声をかけてくる彼に
私は涙が出そうになった。

私にとっては普通の事ではなかった、朝一番の挨拶。
誰かが作ってくれる、温かい手料理。

たとえそれが全く知らない年上の男性であっても、私には幸せに感じた。