君一色





そのまま家に着き
彼女を部屋に上げると、この上なく不安そうな顔で俺を見た。


―――そりゃそうか……。

俺は風邪を引かせないように連れてきたつもりだけど。
彼女にとってみれば
知らない男に連れ去られたくらいにしかとられてないだろう。


俺は、説明をする代わりにバスタオルを彼女の頭にかけた。


「………それで頭拭いて。」

「………」

彼女は無言のまま手をバスタオルに当てると
頭を拭くことなく、それを剥がした。