君一色



そして、明るく答えた。

「―――今帰ってる途中ですよ!傘忘れちゃって!」
“あはは”と
ひきつった笑顔でそう答える彼女から、それを嘘だと見破るのは簡単だった。


「嘘。さっき持ってた荷物は?傘は?――――どうして今は何も持ってないの?」


「…………それは……」


きっと彼女は一度家に帰っているのだろう。

この様子からすると、家から出てきたか………


「ちなみに、家はどこ?ここら辺なんでしょ?」


「えーと……あ、あのアパートです!」