「はいはい。残念だったねー」
隣で泣き止まない恭弥を適当になだめながら歩き出す。
「――てか、来るんならもう一本持ってから来いよ。何が悲しくてお前と一本の傘に入らなきゃいけねーんだ。」
「うおーっお前までーっ」
あー………うるさい。
「で?家来んの?」
最近はほぼ毎日家に来ていたから
当然のようにそう聞くと、
「……いや、今日は頭冷やしたい気分……」
ガックリと肩を落として呟くと、自分が差していたピンクの傘を俺に押し付けた。
「それ、やる!」
「はぁっ!?意味分かんねーよ。傘貸してくれただけでも十分脈ありだろ!?」
あー…なんだこの中2のような会話は………
自分でだいぶ恥ずかしい事を言った、と
少し後悔した。
