君一色




「和音が家に帰れるようになっても、俺のこと忘れないで欲しかった。無理にでもこういうの渡しとけば大丈夫でしょ?ーーーだから自己満足。」


「わ・・・私の事も忘れないでくれますか!?会って・・・くれますか?」



そう言うと、私の頬に当てられていた手がビクッと動いた。
それと同時に高瀬さんの表情がふわっと緩んで行く。




「うん、もちろん」



笑顔で言ってくれたのに、それなのに
私の心中は黒い渦ができたように広がっていく。



だってそれは・・・

「私が妹だから・・・?」

ぼそっと呟いた言葉は、高瀬さんには届かなかったらしい。


「ーーーえ?」