いくら守りたいって思っても、
和音を傷つけてしまっているのは自分だから。
これが俺のけじめだと思う。
ずっと膝の上で握りしめていた和音の手が、ゆっくりと開かれるのが視界に映る。
すると、
その手が勢い良く俺の頭を引き寄せる。
「ぇ・・・なに」
急に抱きしめられたことで、驚いて情けない声しか出せない俺の頭を
彼女は更に深く抱え込んだ。
服からか、髪からか。
和音の優しい香りのせいで、何故か泣きそうになる。
「言ったじゃないですか・・・。それでも私は、幸せなんです。」
ゆっくりと
言い聞かせるように放たれるその台詞が
どうしても自分の中に入ってこない。
それでも和音は続けた。
「責任なんて、もう感じなくていいの。私は高瀬さんがいるから幸せなんですっ・・・」
「ーーーーっ」
なんでこの子はこんなに純粋なの?
俺のために必死になったりとか。
俺のために泣いたりとか。
もっと、自分のために生きろよっていつも思うよ。
