君一色



でももう
引き下がることなんてできなかった。


俺から目を逸らし、先へと足を進めようとする先生の腕を掴み
自分の身体へと引き寄せた。


「ちょっ!?何して・・・」


「旦那さんと何かあったの?」

「ないってば」

「指輪してないじゃん」

「ーーっ!!何もないってば!どうでもいいでしょ!?いいから離しなさいっ」


抵抗する先生に対し、俺はさらに強く抱きしめた。



「好き。先生のこと、すげー・・・好き」


「・・・ぇ?」



学校の中で、教師と生徒が抱き合っているのがまずい事くらい知ってる。

けど、ここまでになった想いを
これ以上どうすることもできなかった。


先生も
もうどうでも良かったのかもしれない。



たがら、俺を受け入れた。



そこに気持ちなんて
一つもなかったのに。