私の仕事でも同じことが言える。

企業の予算と、クリエイターとしての理想の間で同じ葛藤がある。だから、彼氏の苦悩をとても理解しているつもりだ。

「キミがいつも一緒に居てくれて心強いよ。作品作りにおいても貴重な意見をくれるしさ。一緒に居られてとても幸せだ」

恋愛小説が得意ジャンルというわけではないが、そんなセリフも彼氏は私に真顔で言う。えへへ、と私も笑顔でうなずく。この世のどの女の子よりも彼のことを理解して、支えている妙な自信と優越感を感じていた。


彼氏は小説家で、私はデザイナー。

その組み合わせだけみれば、月9のドラマにも勝てそうな響きだ。

微妙に分野は違えど、お互い刺激し、補え合える最高のカップルなのよといつも周りに惚気ていた。




そう信じて、自分を言い聞かせるしかなかった。


セックスレスで不幸せだなんて、思わないように。