やがて時がたち、ぺんぎんの傷は治りました。

けれども長い間飛ばなかったぺんぎんの体は太って重くなり、怪我で弱くなった羽根では飛ぶことができません。

何度も、何度も、羽ばたいては、真っ白な氷の大地に転げ落ちます。


「どうしよう、ボク飛べなくなっちゃった…」


何度羽ばたいても飛べないぺんぎんは、ついにぺたりとその場に座りこんでしまいました。


ぺんぎんのまんまるの瞳からは涙が溢れて止まりません。


そのうちその温かな涙が氷の大地を溶かします。


ぺんぎんのまわりだけ丸く溶けた氷の大地は、太ったぺんぎんの重さにたえられずピシリと音を立てて割れました。