そこには…私だけの王子様がいて、
私はその王子様のkissで目覚めるの…。

 そして…私はその王子様と末長く幸せな結婚生活を送るの。


 そう…。
それは、私の幼い時からの夢…。

 目が覚めると…。
ちょうどこんな感じで…寝ぼけ気味な視界にぼんやりシルエットが写り込んでくる。

 そして…そのシルエットはやがて濃くなり白い着物姿の男性が私の体を抱き起こした…。

 なぜ…?着物…?

 素朴な疑問はあったけど、まあ…これは夢なんだから多少の理想のズレは気にしない…。
そう思って気を取り直したら次の瞬間…激痛が体中をかけぬけた…。

 呼吸もままならなくて…心臓もとまっちゃいそうなくらいに鈍い音をあげてゆっくり…ゆっくりと体中に伝わる鼓動が重低音を帯びながら刻むたびに、苦しさと激痛に体を支配されていくのがわかった…。

 いったい…どうしたっていうの?

 突然…何もわからないまま…私は、まるで水の中を泳ぐように水中より上を目指す…。
息苦しくて、思うように泳げなくて…もうダメって思った頃…。

 ピッ―という虚しい音にそって、上空に日の光が水面を照らしているようにみえる。

 私は…その不快な機械音に導かれた光を手探りで手繰り寄せゆっくり光の指し示す先を目指し泳いだ。