「お姉さん、美人だねぇ……少しだけ、少しだけでいい……」

夜10時頃、駅のホームでスーツを着たおじさんがアタシの肩を叩いた。


「悪いけど……金に困ってないから。それと、アンタみたいなじじいとやらねーよ」




おじさんの手を振り払い電車にのり、夜の鮮やかな世界へと旅立つ。


これはいつもの事。



この時、アタシは12才だった。
そう、中学一年生。



ろくに学校にも通っていない。


親は、アタシが10才の時、両方とも事故で死んじゃったから親戚のおばさんの家で暮らしていた。




とはいっても、おばさんは仕事が上手くいかなかったりするとアタシに虐待をした。