─みくside─

「きゃー♡♡♡王子~♡♡♡」
うわっ…またやってるよ…
宮本たいし、通称王子。
彼は顔よし、性格よし、スタイルよしと3拍子揃ったおうじなのだ。
そして、化粧と香水の匂いがキツく甘ったるい声を出している女たちに囲まれている…
まあ、そんな感じで平凡な私には関係無い人物だった…

なのに、寄りによって今日は私のクラスの前にいる。でも、いつまで経っても動く気配がないので王子とその周りの女子の皆さんと絶対ぶつからないと心に誓い歩き出したのに…
ドンっ
「きゃっ!」
「うわっ!ごめん、大丈夫?」
ぶつかってしまった。しかもそれは…
「きゃーーーーーー」
王子だった。耳が痛くなるような悲鳴があがり、私は一気に注目を浴び睨まれた。
「こちらこそすいません…」
そういうと私は、いそいで教室に入った。


─たいしside─

「きゃっ」
「うわっ!ごめん、大丈夫?」
誰か見知らぬ女の子にぶつかった…
でも、その女の子が顔を上げてびっくりした。学年1かわいいと噂の一ノ瀬みくじゃないか…しかも俺を見上げてるから上目づかいになってるし。
でも驚いたのはこここらだった。みくちゃんは俺を観ても赤くなったりせず、
「こちらこそすいません…」
とだけ言って去っていった。初めてこんな子にあった。俺を特別扱いしない子。
ぼーっとしていた俺を女の子…確かそ、そ、園田さんだ!園田さんがこっちに呼び戻してくれた。
「宮本様、大丈夫ですか?」
「えっ?あ、あぁ、大丈夫だよ…。」
一応返事はしたけど、俺の頭の中は一ノ瀬さんの事でいっぱいだった。