時は流れ、休日。

付き合ってから初めてのデートに参ろうと思っています。

『ふふふ』

よくよく考えればデートなんてしたことなかったな私。

嬉しさと緊張のもどかしさで頬の筋肉緩みまくりだわ…あらやだこんな間抜けな顔で出かけらんない。

普段化粧なんてしないからちょっと違和感。

お気に入りのサンダルをはいて玄関を出ればすぐ下で長原さんが携帯を弄っていた。

家が隣ってなんか便利。

『おはようございます、遅れ…てはないですね』

うん、待ち合わせ5分前。

「待ったんだけど」

『そうですか』

「うん、待った」

『はい、じゃあ行きましょっか?』

え?みたいな顔をしている長原さん。なに?一体なにがあった。

「なんか言うことないの?」

『言うこと…ですか』

何を言わせたいんだあなたは。

おはよう?もう言った。好きです?今ここでいう意味が分からない。

「謝って」

『は?』

「謝って」

いや聞こえてますけども、なにを?

私何かした?

「謝れ」

『ごめんなさい』

頼みから命令口調になったら危険。

とりあえず訳の分からないまま謝罪の言葉を述べれば「全然いいよ」と返ってきた。

何がしたかったのかな?

そんな疑問を残して差し伸ばされた手を握った。