「じゃあなー!」
辺りは真っ暗。
小野寺さんと琉多は反対方面らしく、私が長原さんを支えてあげながら帰るしかなかった。
「……」
「大丈夫ですか?」
「工藤さんは琉多のこと好きなの?」
「へ?」
なぜここで琉多が出てくるの?
「はぁ…まあ、好き?」
嫌いではない。
むしろあのテンションの高さは尊敬に値します。
「…なんで、琉多なの?」
「え」
なんか勘違いしてない?
そういう意味での好きじゃないんだけど。
「オレの方が好きなのに…」
そういった長原さんは私を引っ張って人ん家の塀らしき壁に押さえつけた。
あ、これまずい。
どこぞの少女漫画?
「あのちょっと落ち着きましょう!」
「…そろそろヤバイ。」
なにが!?
というひまもなく重ねられる唇。
長原さん勝手すぎるよ。
もう青春真っ只中の高校生じゃあるまいし。
「ちょ、長は…っ」
おかしいな、長原さんは草食系男子って言ってなかったっけ?
英理のほらふき。
なにが付き合ってない人には手ぇ出さないだよ。
私今思いっきり手ぇ出されかけてんですけど。
