「工藤ですってば!」

「そーじゃなくてー。あーもー。工藤さんバカ!」

あなたにはバカって言われたくない!!

「下の名前だってば!」

「下の?侑紀ですよ。工藤侑紀。」

「じゃあ侑ちゃんね!」

侑ちゃん…昔のあだ名だ。

この名前男の子っぽくてあんまり好きじゃなかっんだよね。

もう馴れたけど。

「でさ、詩蓮には何の用?」

「私ですか?いや、ちょっと心配で…」

「心配?」

「昨日一緒に飲んで、そのまま放置してきちゃったんですよ。」

「一緒に?!わざわざ来たの?!」

「わざわざっていうか私ん家、隣なんで。」

「あ、ここなんだー。今度遊びに来るねー。」

「来なくていいでーす。てか長原さんまだ寝てるんですかね。」

玄関前でこんなに話して(琉多だけ)騒いでるのに出てこない。

まだ寝てる可能性大。

がちゃ、とドアを開けた琉多。

「ねね、こっそり入っちゃおーよ。」

もうすでに入ってから言う台詞じゃないと思う。

しかも

「それ不法侵入っていう立派な犯罪なんですけど。」

「大丈夫だって!それにね、詩蓮の寝顔破壊的だよ。」

「ちょっと待っててください!」

ケータイを持っていかなければ。

その破壊的な寝顔をカメラにおさえなければ。

それが私に託された試練!

ということで、五秒で戻ってきました。