私、山本 空。
『山本 空』と書いて『やまもと そら』と読む。
私は今何してるかと言うと・・・迷子中です・・・・・・。
今日は、高校生活初登校日。つまり、入学式だった。つまらない、校長先生の長々しい話しを聞いたり、担任の紹介をしたりなど・・・まぁ、いかにもザ・入学式!!みたいな式だったのだ。
入学式が終わって教室に戻り、ホームルーム的なものを済ませて解散した。皆が教室を出て、正門を通って行く姿を目にしながら私は学校を探検するべく皆とは逆方向に向かって行った。
明日から正式に始まる学校生活なのだ。皆より先に学校の隅から隅までを調べ尽くして、私の特定の場所を探したい!!
と・・・・・・思いうろうろしたのはいいが、私は凄いくらいの方向音痴で、今でも右と左を間違えるくらいだ。
そのため、自慢じゃないが迷子中なのだ。
「こ・・・ここ何処だぁ!!??」
叫びながらうろうろしていた。
三階・・・つまり、三年生の所の場所だとは把握していたのだが、渡り廊下が三階にあるためそこを渡ってしまい迷子になってしまったのだ。
「うぅ・・・・・・、こんなことなら、皆と一緒に帰ればよかったよぉ」
そんなことを呟いていると、どこに繋がってるかよく分からないが目の前に扉を見つけた。開くかどうかも分からないが一応押してみることにした。
すると、なんなく扉は開いてしまった。
その扉の向こうの景色は、中庭のような景色で、広さは、屋上くらいはあるだろうというくらい広い。
「三階にこんな場所があるんだ・・・・・・」
私は辺りを見渡しながら奥へ奥へと進んで行った。
そこには私の求めていたベンチがあり、そこに思わず腰掛けた。
迷子になった!と自覚して一時間は歩き回っていて、私はそこまで体力があるわけではないのでヘトヘトに疲れていた。
しかし・・・学校で迷子になったなど滑稽な話・・・友達には絶対聞かせられないな・・・特に、私の彼氏『櫻井 廉』『さくらい れん』には・・・・・・。
廉とは幼稚園からの幼なじみで、付き合い始めたのは中学二年生の秋くらいだ。
「好きだ、俺と付き合ってくれ!」
力強く廉に言われて、私は廉の事は嫌いじゃなかった。むしろ、好きの部類。
恋なんてよく分からなかったけど、断ることも出来ず、廉への返事は「はい」と返した。
その時、廉が可愛く笑ってたのを今でも覚えている。