「うんうん♪」

電車の中で私たちはたわいない会話をしていた。

「ねぇ、菜桜。」
「ん?」
「さっき菜桜が話してた人さ、菜桜が好きなアイドルに似てたね。」

え…
瑠夏までそう思うってやっぱり!

似てたんだー♪

「うん♪似てた!なんか似すぎててドキドキした。」

いつもなら男子になんてドキドキしないのに。

おかしいと思った。

「うん。そうだと思った菜桜いつもより顔赤かったし」

瑠夏が思い出したように笑った。

「ほんと!?それはやばいなぁ…!」


でも
こんなところに奏がいるわけないし
ただの『そっくりさん』だよねー…。


「はぁ…。」

なぜかため息がこぼれた。

「どうかした?」

瑠夏が顔を覗き込んでくる。

「んー。一生奏にしか恋しない!って言っといて他の人にときめくとかファン失格かなぁ?」

瑠夏が呆れたようにため息をついた。

「しょうがないよ。似てたんだからさ」
「そう、かなぁ?」

私が首をかしげると瑠夏は頷いていた。