「あー、東先輩が子供を泣かせたー!!」
「「いーけないんだ、いけないんだー!」」
「ちょ、お前ら……!違う、違うからッ!!」
少し遠くから、そんな声が聞こえてきた。
思わずそちらへ視線を向ければ、泣いている子供の前でオロオロしているヤクザ顔の東と、そんな東を囲んで笑っている一年生3人組が視界に入ってきた。
……まるで小学生のイジメのような光景に、私は思わず嘆息する。
(どうせ、迷子を見つけた東が保護しようとした所で顔の恐さで子供に泣かれ、困ってた所をからかわれてるんだろう)
…残念ながら、東にとってはよくある事だ。誤解されたり泣かれたりするのは特に。
(……なんか、この言い方だと東が可哀相な奴に聞こえるな)
ついついそんな事を考えながら、東達の方をボーッと見ていたその時……
「あーすかっ」
『うわぁぁあああっ!?』
突然、誰かに後ろから抱きしめられた。