【飛鳥Side】



今までとは明らかに違う速度で迫ってくる拳に気付いた私は、自分にはもう避ける余裕が無いと気付き、焦った。


けれど同時に、



(ひっかかった――!)



自分の思惑通りになった事に、内心喜んでいた。


……実は大輔は、全力で右ストレートを出した瞬間、足元に完全な隙ができる。


だから私は、大輔の全力右ストレートを『出させる』ためにわざと懐に攻め込んだのだ。


……その速度は、予想以上に速かったけれど。