「……なにウジウジしてるんだ。くっだらねぇ」



低く平坦な声と共に、結城の頭に2回拳が落ちてきた。



「ってぇ!?」



咄嗟に痛む場所に手を当てた結城が上を向くと



「……お前は、俺達の勝ちやすい作戦を立ててりゃいいんだよ。ゴチャゴチャ考えてんじゃねぇ」



耳に青いヘッドフォンを装着し、同じ色の瞳に冷たい殺気を宿らせた大男――吉井悠途と



「勝ちをもぎ取るのは俺達の仕事だ。そして、負けた時はお前を含めて全員の責任。

――今から、まだしてもいない失敗を考えて怯えてんなよ」



明るい茶色の髪を無造作にワックスで立てている、雷河。


二人の言葉に一瞬ポカン…とした結城は



「まぁ要するに、『心配すんな』って言いたいんですよねー先輩方」



無邪気に笑う大輔の明るい声に、やっと事態を把握した。


そして、素っ気ない態度を取り続ける二人を見やって、突如涙ぐむ。