総長様はご機嫌ナナメ 〜裂空VS獄炎〜





私達二人のやり取りに、[裂空]のメンバーが息を呑み、黙り込む。


そうして倉庫内が静まり、私と苓の殴り合う音しか聞こえなくなった頃――



『うん。……苓は強いね』



私は、小さく呟いた。



『身体能力はもちろん、相手の攻撃を予測する知恵、反射、重心の置き方――全てにおいて花丸だ。天性の才能なのかな、本当に凄いと思う』



単純な喧嘩のセンスだけだったら、私は苓に負けていただろう。


―――でも。