「ぐ、ぅ……っ」 『怒りを原動力に強くなるのは別にいいけど、それで冷静さを欠いちゃダメだな。隙だらけ。ちょっとは自分と相手の動きを予測する事を覚えろ』 腹を押さえてうずくまる睦月に、ささやかなアドバイスを送りながら耳を澄ます。と、 タッタッタ…… [裂空]の皆の話し声の他に、背後から一つの足音が聞こえてきた。 私は睦月に視線をやったまま、その気配が十分に近付くのを待ち… 「――ハッ!」『…っらぁ!』 こちらに殴り掛かって来たと同時に振り向き、素早く拳を突き出した。