掴まれた手首が、耳にかかる吐息が、熱い。 「飛鳥……」 『っ!!』 深いバリトンの声に名前を呼ばれ、勝手にビクッと跳ねた身体。 『な、に……?』 眠気にも似た気持ち良さに抗おうと、閉じかけていた目を開けば、二人の視線が絡まる。 その力強い瞳に、流されそうになったその時―― 「お前、苓とは本当に付き合ってないんだよな?」 『……は?』 …――その発言に、一瞬で目が覚めた。