理系彼氏!

「じゃ、私はみづきなんでみぃちゃんでよろしくでーす」
「えー、倉崎先輩はみづきってよぶじゃないっすかー!」
「俺はいいのー。俺はみづきのダーリンってやつだから。」
「はぁ?今ダーリンなんて気持ち悪い言葉を吐いたのはどの口かしら?」
「わあああ・・ごめんってー・・。」

仲がいいやら悪いやら。
この二人の場合、みづきのが強いから喧嘩にならないみたい。

「私は、樹里でいいですよー。」
「樹里ね、了解ー!」
「樹里って名前可愛いよね、誰がつけたの?」

その名前可愛いねという決まり文句を言ったのは大崎さんではなく、みづきの彼氏だった。
もちろんのことだが、みづきは自分の彼氏をかなりきつく睨みつけている。
これは精神的に耐え難いんだよねー、この睨み。

「樹里って名前つけたのはお母さんですよー。理由は覚えてないけどー」
なんだそりゃ、とみんなして笑う。
ここが樹里のすごいところだ。
何を言っても笑いを誘える。
頭が良くなきゃできないのかもしれない。

「明日香ちゃんは?」
「え?」
「明日香ちゃんはなんて呼んだらいい?」

私は少し考えて、
「皆さんにお任せします。」
と答えた。

つれない女と思われたかな。
どうでもいいか、チャラい男は好きじゃない。
私はここに飲みに来ただけ。
そう思うようにしようとそのとき思ったのだ。