理系彼氏!

狭いアパートの一部屋に残された私にリュウは寄り添って心配そうに私の顔を見上げている。

「大丈夫だよ、リュウちゃんは優しいね。達也くんそっくり・・ううん、達也くんほど冷たくないか。」

くぅーん、と鼻を鳴らして甘えてくるリュウはその日は私に寄り添って寝てしまった。

「リュウ、明日にでもみづきと樹里に相談してみようと思うの・・それで考えてみようと思う。」

起きないようにそっと抱き寄せて私もリュウとくっついて眠った。

翌日、仕事から帰ると既に達也くんは家にいた。
合鍵は渡してあるから勝手に上がってるのはわかってはいたけど、やっぱり慣れてないせいか、少しびっくりする。

「ただいま、これからお散歩?」
「うん、明日香さんも行きますか?」
「でも・・歩けるの?この子」
「歩けないですよ。だから抱っこしてお散歩してます」
「・・そうなんだ。じゃあ、私も行こうかな。」

一緒に歩きながらみづきにメールで相談しようと思ったのだ。
メールでみづきに相談すると、さすが理系の彼氏を持つだけあってこういうときは心強いというかなんというか。
いつになく頼もしく見えるのだ。

メールで聞いたのは、達也くんに告白されたこと。
理系の彼氏を持つと大変だと思うことはあるのかどうか。
そういったことだった。

みづきからのメールはいつものように早くに返ってくる。
仕事中だろうに・・・。

『ふうん、明日香は達也くんと付き合いたいの?
付き合いたいなら付き合えばいいと思う。
人と付き合うのにデメリットとかメリットとかはないと思うけど。
でもね、足して二で割ってちょうどいいなぁって思うかもね。
まして、明日香は文系だし達也くんは理系だし。
この意味が今はわからなくてもそのうちわかる日がくるわよ。

じゃ、私はこれから店内に出るからまた何かあったらメールしてね。
幸運を祈る!!!』

・・・こんなに長いメールなのに2~3分で返してくるんだもんね・・。
慣れって怖い。
とりあえず、わたしは「ありがとう」と返信を送った。