犬がきてから1ヶ月経った頃に、みづきと樹里が遊びに来た。

「やっほー、きたよー!」
「きたよーって呼んでないんですけど。」
「まぁまぁ、そう言わずにさぁ。今日はどうせ仕事休みでしょ?」
「まぁね、っていうかみづきと樹里は仕事じゃないの?」
「やだなぁ、私達だって休みくらい欲しいわよ」
「あんたらはいつでも休みっぽいけどね、私からしたら」
「明日香の仕事と一緒にしないでよ」
「あはは、業務内容からして違うものね」

そう話していると、達也くんと散歩に出ていたリュウが帰ってきた。

「おかえり、リュウちゃん。達也くんお疲れ様、麦茶飲む?」
「ああ、もらう」
「はいはーい」

麦茶を注いでいると、犬に注目が集まった。

「ねぇ、明日香。犬飼ったの?」
「ふふ、可愛いでしょ?」
「なんて犬種なの?」
「チワワとパピヨンの間の子」
「じゃ、ミックスだ!」

犬とひとしきりじゃれてから樹里が聞いてきた。

「この犬、誰にもらったの?」
「達也くんがくれたのよ」
「へぇ、いくらで?」
「お金かかってないよ」
「タダ!?」

みづきが素っ頓狂な声をあげる。

「ちょっと、うるさいよ」
「ごめん。っていうか、君ら付き合ってんの?」
「まさか、付き合ってないよ」
「え?でも、犬の散歩してくれてるし家にもあがってるし犬だってくれたじゃん」
「それでも呼び方は明日香さんだし、告白もしてないしされてもない」
「でも、一般的に付き合ってるって言うんだよ。こういう状況」
「・・そうなの?」

達也くんに聞くと、「さあ?」と返ってきた。

「っていうか、付き合っちゃえばいいのに」
「達也くん次第だよ」

そう言って達也くんをチラリと横目で見ると、リュウと一緒に遊んでいてまるで話を聞いていなかった。
多分、聞かないようにしてるんだと思うんだけど・・