犬をもらうと言って見に行ってから3日が経った日の夕方に、あの子犬はやってきた。
犬用品店でおもちゃなどを達也くんと見に行ったりしてたのであっという間だった。

「犬が来てから私は毎日が楽しくて仕方がないの!達也くんに感謝しなきゃだね!」

そう達也くんに言うと、達也くんは顔色一つ変えずに答えた。

「その犬が嫌ならいつでも交換するから、言ってね」
「そんなことありえないわよ、この子の代わりはいないのよ」

私がそう言うと、「そうか」と言って達也くんは少し申し訳なさそうな笑みを浮かべた。
わかってた。
達也くんの言いたいことくらい、理解できてた。
この子犬は体が弱く、生と死の瀬戸際を歩いているような状態だから・・
だからこそ交換すると言ってくれたのだ。
でも、この子は前に飼ってた犬の代わりではないようにこの子の代わりはあの他の子犬にはできない。
きっと、それは達也くんもわかってくれているんだと思うけど。

「散歩、いつ行けるかな?」
「まだ小さいからね、1ヶ月2ヶ月まってからがいいかもね」
「そっかぁ、お散歩楽しみだなぁ」
「そうだね、名前は何にしたの?」
「リュウ」
「なんで?」
「龍って長生きしてそうでしょ?だから、リュウ」

達也くんはフッと小さく笑って「いい名前だね」と言ってくれた。
やっぱり、達也くんはとても冷たくてとても優しい人なんだと思った。