理系彼氏!

「見たままだよ」
「見たままって・・知り合いの家って自宅?」
「違うよ。俺の自宅は明日香さんちの近く。一人暮らししてるからここは自宅じゃない」
「実家?」
「そうだね、そうなるかも」

そうなるかもって・・そうしかならないような・・。

「ねぇ、ここにいる犬・・なんて犬種?」
「これがティーカップ・プードル。あっちにいるのがコーギー。その向こうにいるのがチワワその隣にいるのがパピヨン。」
「あっちのは?」
「あの隅の方にいるやつ?」
「うん。」
「あれはあげられないよ」
「どうして?」

達也くんの話によれば、かなり体の弱い子らしくいつ死んでしまってもおかしくないらしい。
でも、わたしはあの子が気になった。

「ねぇ、あの子の犬種はここで遊んでる子とは違うの?」
「うん、あの犬はミックス。」
「大きくなるの?」
「ううん、父親がチワワで、母親がパピヨンだから小さいままだよ」
「・・あの子が欲しい」
「は?」
「あの子をください」

達也くんは「それは本気で言ってるの?」と聞いてきた。
私は、どうしてもあの子が欲しかったのだ。
考えを曲げる気はなかった。