翌日の彼と会う約束は、彼と私の家でゆっくりするだけになってしまった。

「ねぇ、お昼食べに行かない?」
「だめ、俺が作るよ。」

お金の問題ではなく、単に外出歩くなってことらしい。
あんなに飲むんじゃなかったと今になって後悔した。

「達也くんはさぁ、彼女とかいないの?」
「なんで?」
「それだけなんでもできるんだしいそうだなぁって。」
「いたらあの場所にはいかないよ」
「まぁそうだけど・・お付き合いってことで行ったのかなぁって。だからあんなに冷たくしてたのかなって思ったの」
「・・今の俺もあの時の俺も一緒だけど?」

そうじゃないんだけどなぁ・・と微笑む私。

「なんでニヤついてんの?」
「ニヤついてるんじゃないわよ!」
「だってニヤニヤしてるじゃん」
「微笑んでたの!」
「・・そうとも言うね」
「そうしか言わない!」

このやり取りだけをみたら結構仲良しに見えるのかなぁとか少し考える。
でも、彼には彼女がいない。
それなら私にもチャンスはあるわけで・・。


「じゃあ、聞くけど。あんたは男いないの?」

何度言ったらわかってくれるのかとため息をつく。

「だから・・あたしの名前は明日香!あんたじゃないってば」
「ああ、そうだったね。明日香さんはいないの?」
「いないよ。」
「初芽なんかとはどうなの?」
「ハジメさん・・?ああ、あのチャラチャラボーイね。あの子からはあれから音沙汰なし。」
「ああいうのは好きじゃないの?」
「私はチャラいのは好きじゃないのよ」

そこで彼は少し考えだしたようだったが、すぐにまた口を開いた。

「じゃ、あんた・・じゃない。明日香さんからみた俺はどうなの?」
「はい?」
「チャラいのかってこと」
「チャラかったら昨日の段階で追い出してるわよ」
「・・ですよね。ふうん・・。」
「何?何が言いたいの?」
「じゃ、俺が告白したらどうするの?」

何を言いたいのかハッキリしない。
それどころかわけのわからないことを聞いてくる。

「考える。」

そりゃそうよね。
告白されていいよ付き合いましょうなんてノリで付き合うみたいだし。
少し考えたほうがいい。

「そうか。」
「うん。」
「俺、好きだよ。」
「え?!」
「何?」
「いや・・その考えさせてくれる?」
「なんで?」
「へ・・?」

彼はキョトンとしてこちらを見ている。
何が好きなんだろう・・?

「ごめん、何が好きなの?」
「これ。君、犬飼いたいんでしょ?」