そしていよいよ西軍の進軍が始まろうとしていた。


「俺は一足先に大坂へ行き、諸侯達へ指示を出します」


出発前、左近様がそう私に話しかけてきた。


「どうかお気をつけて」


私は三成様の元にいることになっている。


本来ならば三成様自身が大坂に行くのだが、吉継様と何やら話が残っているらしい。


「少しの間、会えなくなるのは寂しいですが」


思わず本音を漏らすと、左近様はニヤリと笑った。


「帰ってきたら、会えなかった分まで可愛がってあげます」


「えっ!!」


「ははは。行ってきます」


「もう。本当に…」


小さくなっていく彼の背中を見ながらぽつりと呟く。


そしてこれからのことを考えて思わず身震いした。