あのデートから数日。


やはり私達は相変わらずだ。


だけど、心の距離は少しだけ縮まった気がする。


そう思うのは私だけかな。


「友衣さん」


部屋でそんなことを考えていると、本人登場。


「はい?」


とっさに出した声はそっけないものになってしまった。


「おや、どうしたんです?機嫌悪いですよ?」


媚態という言葉がぴったりな甘ったるい声で言われ、顔を覗かれ、心臓がポーンと跳び跳ねる。


「い、いえ。機嫌なんて悪くないです」


「それならいいですけど?」


甘く低い声で囁かれた上に、クスッと色気を含んだ微笑みを目の前で見せられ、心拍数が急上昇するのを感じた。


クラクラして腰の力が抜けそうになる。


(男の人がこんなになまめかしい顔をするなんて…)


「なかなかいい顔するじゃないですか」


何か言い返そうとした時、左近様の後ろでこちらを見ている三成様と目が合った。


「ほ、ほら。三成様が見てますよ」


「殿」


「ふん」


三成様は私達を見て鼻を鳴らした。


「いつもおとなしいのに、左近といる時は女の顔になるのだな。お前は」


「な、な、な、何言ってくれちゃってるんですか」


「何ってありのままを述べただけだが?」


「いや、あの、私、忙しいので失礼します」


これ以上ここにいたら恥ずかしくて気絶してしまう。


何の用もないのに、私は2人を置き去りにして去った。