「えっと」


正直に言おうか迷っていると、彼が先に口を開いた。


「ま、その様子ではいないみたいですね。今はまだしも特に寒い時期は人恋しくなりますから。早く現れるといいですね」


「…ええ」


声が沈んでいるのが自分でもわかる。


そんなこと言えるなんて、私のことなんか意識してないんだね。


だとしたら、どうして気になる人の存在なんか確かめるんだろう。


そう思うのに、言えない。


だが、顔には出ていたらしく彼は怪訝そうに聞いてくる。


「友衣さん?」


「私のことなんかほっといて下さい」


「ちょっと」


左近様を振り払って私は逃げた。


ただ、悲しかった。


好きじゃないなら口説かないで。


期待させないで。