夢を見ていた。
空を覆わんばかりの満開の桜の木の下で、左近様と一緒に座っている。
そっと手が触れたと思うと、指が絡んだ。
きゅん、と胸の奥が切なくなって甘えるように彼に寄りかかると、守るように肩を優しく抱かれる。
「友衣、さん?」
どこからか声がした。
「左近様…」
呟いたと同時にハッと視界が変わる。
左近様の部屋の中で、彼が驚いたような顔を向けていた。
そうだ、これが現実。
「あっ…!」
私は飛び跳ねるように起き上がった。
しまった。
隣でそのまま眠ってしまっていたんだ。
これじゃ私の本心がバレてしまう。
「別に、左近様が心配で来てそのまま寝てしまったとかじゃありませんから」
いきなりそう言ってみせる。
「ですが、理由もなく嫌いな奴と一緒に眠るあんたとは思えませんが」
「私のことなんてもう構わないで下さい」
心を探られたくなくて、視線を反らすのが精一杯だ。
体に左近様の温かさがまだ残っていて、それが私の心を嵐のように激しく掻き乱す。
左近様。
私は、本当はあなたを…!
「友衣さん、あんたは一体俺に何を隠してるんです?」
言えない。
言うわけにはいかない。
「もう黙って下さい。これ以上干渉するならその時は…」
私は部屋にあった防衛用の槍を掴んで彼に向けた。
「その時は、あなたを刺します」
切っ先が鈍く光り、彼の首筋に迫る。
「何やってるんですか、落ち着いて下さい」
無理やりにでも早く会話を切り上げたかった。
そうでないと、この乱れる想いが私を素直にして彼の懐に飛び込んでしまうような気がした。
お願い。
私の心をこれ以上掻き立てないで…。
空を覆わんばかりの満開の桜の木の下で、左近様と一緒に座っている。
そっと手が触れたと思うと、指が絡んだ。
きゅん、と胸の奥が切なくなって甘えるように彼に寄りかかると、守るように肩を優しく抱かれる。
「友衣、さん?」
どこからか声がした。
「左近様…」
呟いたと同時にハッと視界が変わる。
左近様の部屋の中で、彼が驚いたような顔を向けていた。
そうだ、これが現実。
「あっ…!」
私は飛び跳ねるように起き上がった。
しまった。
隣でそのまま眠ってしまっていたんだ。
これじゃ私の本心がバレてしまう。
「別に、左近様が心配で来てそのまま寝てしまったとかじゃありませんから」
いきなりそう言ってみせる。
「ですが、理由もなく嫌いな奴と一緒に眠るあんたとは思えませんが」
「私のことなんてもう構わないで下さい」
心を探られたくなくて、視線を反らすのが精一杯だ。
体に左近様の温かさがまだ残っていて、それが私の心を嵐のように激しく掻き乱す。
左近様。
私は、本当はあなたを…!
「友衣さん、あんたは一体俺に何を隠してるんです?」
言えない。
言うわけにはいかない。
「もう黙って下さい。これ以上干渉するならその時は…」
私は部屋にあった防衛用の槍を掴んで彼に向けた。
「その時は、あなたを刺します」
切っ先が鈍く光り、彼の首筋に迫る。
「何やってるんですか、落ち着いて下さい」
無理やりにでも早く会話を切り上げたかった。
そうでないと、この乱れる想いが私を素直にして彼の懐に飛び込んでしまうような気がした。
お願い。
私の心をこれ以上掻き立てないで…。