-side左近-


翌日。


「う…」


俺が目を覚ますと、隣にはすやすや眠る友衣さん。


昨日のばれんたは和解し、愛し合い、時間が止まってほしいと思うほど幸せだった。


友衣さん、ありがとう。


年甲斐もなくつまらないことで傷つけたこんな男を愛してくれて。


そっとそのしなやかな体を包むように抱きしめる。


空模様のように目まぐるしく変わる表情の持ち主だが、一番大事な人。


「あんたは俺が守ります」


ゆっくりと髪を撫でても彼女の幼く愛らしい寝顔は変わらない。


こんな乱世じゃ夢物語かもしれない。


だが、願ってしまう。


平和な世の中で彼女と幸せに暮らしていきたいと。


そんな武士らしくないことを考えてしまうのは、やはりそれほどまでに友衣さんが大きな存在だからである。


俺が、守るんだ。


誓うように彼女の左手を取って自分の右手と繋ぐ。


友衣さんは俺の胸で「左近、様」と寝言を言って幸せそうに微笑んでまだ眠っていた。


その後、俺は幸村に会いに行くことにした。