「あぶり出しを使ってお礼を言うなんて…最後まで素直じゃないんだから」


私は胸がいっぱいになるのを感じながらそれだけ言った。


「まったくだ」


左近様も感慨深げに呟く。


恥ずかしげな「ありがとう」の5文字が切ない。


「三成様」


さっき星がきらめいた辺りの空に向かって私は話しかける。


「こんな私を気遣ってくれて、守ってくれてありがとうございました。三成様の思い、届きましたよ」


左近様は隣で微笑んでいる。


「左近様」


「はい」


「琵琶、もう一度弾いてくれますか?」


「え?いいですけど」


私は琵琶に合わせてでたらめに作った曲を、真剣に歌い始めた。