「バカ」


「こんなひ弱い体のお前が戦えるか」


「変な顔だったぞ」


「まったくバカの考えることはわからん」


「別に貴様のことを心配しているからではない」


「目障りなのだよ」


うたかたのように次々に現れては消えていく言葉達。


「三成様、突き放すようなことばかり言ってたのに」


思わず呟くと、左近様はフッと目を細めて笑った。


「あの方は本当に不器用でしたからね」


本当に不器用だ。


扇を開け閉めしながらひどいことばかり言っていた。


本当はそう思っていないのに、わざと冷たく振る舞っていた。


でも、ずっと信頼していた。


私も。


左近様も。


あなたを信じて信じ抜いてついて行き、そして戦った。


「友衣さん」


「はい」


「ありがとうございます」


いきなり左近様にそう言われたが、私にはわけがわからなかった。