-サイド友衣-


無我夢中で私はお寺に戻った。


「お帰りなさい」


部屋に入ると、左近様がそう言ってくれる。


その顔を見た瞬間、私の中で何かが弾けた。


「左近様あぁっ!」


思わず激しく泣きつく。


左近様は何かを察したらしく、私が落ち着くまで黙って背中を撫でてくれていた。








「左近様」


ある程度落ち着いてから言う。


「どうしたんです?」


「私は三成様を救えませんでした」


「まさか…」


彼の顔が青ざめる。


私は六条河原でのことを包み隠さず話した。


「…そうでしたか」


左近様は悲しげにうつむく。


「ごめんなさい」


「あんたが謝ることではありません」


「いいえ。私のせいです」


私には帰りの馬の上でずっと考えていたことがあったのだ。