-サイド左近-


一夜が明けた。


友衣さんは昨日から帰って来ない。


「友衣殿は一体どこへ行ってしまわれたのか」


法春さんも小助も不安げな顔でそわそわしている。


本当に一体どこへ行ってしまったのだろう。


ふと、出て行く直前の彼女を思い出す。


「左近様…」


そう言って俺にもたれかかってきた。


あの切なげな顔。


まるで別れを惜しんでいるみたいだった。


「いかんいかん」


慌てて首を横に振る。


別れだなんて、なんと縁起の悪いことを考えているのだろう。


本当は彼女をさがしに行きたい。


だが、腹と腕を撃ち抜かれたこの体では動けない。


「くそっ…」


そんな自分が歯がゆい。


「行ってきます。宿命に抗いに」


友衣さんの言葉を思い出す。


あれはどういう意味だったのだろう。