「真っ赤に情熱的に燃えて、あっけなく散っていく、か」


なぜか三成様の姿が頭に浮かんだ。


いつも若葉のように澄ましている。


そうかと思えば


「バカ言うな。お前まで死なせてたまるか!」


ふと見せる情熱に満ちた顔。


だけど、紅葉みたいに散らせたくはない。


「法春さん」


私は法春さんに馬を貸してくれるように頼んだ。


「馬ですか?構いませんが、どちらまで行かれるのです?」


「まあ、そこら辺ですよ」


「そうですか。暗くなると危ないですから、日の暮れないうちに帰って来て下さいね」


その温かい言葉に一瞬、心が揺らいだが振り払うように足早に廊下を歩く。


「どこへ?」


急にかけられたその声に横を向くと、布団の上に座っている左近様がこちらを見ていた。


「左近様…」


下手したらもうこの顔を見ることが出来なくなるかもしれない。


込み上げる気持ちが抑えられず、私は左近様に歩み寄り、傷に触れないようにもたれかかる。


「どうしたんです?なんか友衣さん、変ですよ」


不思議がりながらも左近様は抱き止めるように背中に手を回してくれる。


また、気持ちが揺らぐ。


このままこの温もりに甘えていたい。


だけど。


「行ってきます。宿命に抗いに」


「え、友衣さん!?」


私は彼から離れて走って玄関を出、馬に乗り、北東へ向かった。


運命に、最後の抵抗をするために。