-サイド三成-


夜になっても腹の調子が優れないオレは床に伏していた。


「未来では戦はない、か」


それはオレが家康を倒したからこその未来なのか。


それとも家康がオレの屍を越えた先の未来なのか。


どちらであるのかはあえて友衣に聞かなかった。


挟み撃ち作戦に協力してくれる上杉家への、そして秀吉様への義。


それを通したい気持ちはもちろん変わっていない。


だから、何としてでも家康を倒す。


そう思うのに朝、友衣にあのようなことを言った。


老いることも、迷惑をかけることも、もうないだろうと。


なぜだ。


我が命に変えてでも大切な者達を守りたいと思ってあのようなことを言ってしまった。


オレらしくない。


「オレは皆と生きて帰るのだ」


わざと声に出し、眠りにつくために目を閉じる。


ー「義のために死ぬ覚悟なのですか?何度も言いますが負け戦ですよ」ー


友衣の声が頭に響いた。


「死んででも通さねばならぬ義もあるのだよ…友衣」


戦のない未来から来た彼女はきっとそんなこと、 わかってくれないだろう。