翌朝。


目を覚ますと外は静かになっていた。


隣を見ると、左近様は小さく寝息を立てている。


いつも隙のない彼の、野性的なのに無防備なその寝顔に、私はしばし見とれていた。


それからそっと布団から抜け出し、廊下に出、中庭を眺める。


まだ雨はやんだばかりらしく、木の葉からは雫がぽたぽたと滴り落ち、朝日を浴びて水晶のようにキラキラ輝いていた。


すう、と呼吸をすると、すがすがしい空気で肺が満たされる。


「今日も頑張ろう」


そう呟いて部屋に戻ると、左近様はまだ眠りから覚めていなかった。


起こすのもはばかられて、私はただ自分が寝ていた場所に座り込んでいた。


「あれっ」


よくよく左近様の顔を見ると目の下にうっすらクマが出来ている。


もしかして昨日、気を使わせてしまったかな。


だとしたら申し訳ないな。


そんなことを考えて見ていると、左近様がまるで鳥がさえずるように目を開いた。


「わっ」