「え?」


徳川に?


なんでそうなるの?


「石田は統一がとれていない。もはや烏合の衆でしかない。寝返る者も続出するはずだ」


半蔵さんは相変わらず感情の読めない顔で言う。


「そんなこと、知ってる」


「数日見張らせてもらったが、三成は貴様らの意見をまったく聞き入れないではないか」


「三成様は何かお考えなのでは」


「そうは思えぬな。陣を捨てて佐和山城へ走る辺りは、もはや血迷っているとしか言いようがない」


本当は私だってそう思っていた。


だから左近様と一緒に三成様について色々話し合った。


「そんな者に指揮がとれると思うか?」


正直、わからない。


でも。


「少しでも迷うのなら徳川につけ。死にたくないならな」


「それでも嫌だと言ったら?」


徳川なんかに行ってたまるか。


「ならば、これならどうだ?」


「?」


「貴様が徳川につくのなら、罠からあの者を助けてやってもいい」