しかし。


パシッ


私の拳は受け止められてしまった。


こんな細い体のどこにそんな力があるのかと思いたくなるくらいに強い力で。


「2度も同じ手は食らわぬ」


「やあ!」


今度は蹴り。


しかし、動きを読まれていたのか突き出した足をつかまれてしまった。


そのまま引き倒される。


「痛っ…」


背中が床に打ち付けられた。


「あの者が言ってただろう。蹴りは隙があると」


私を押さえながらこちらを見下ろす忍はやはり楽しげだ。


せめてもの抵抗でキッと彼を睨むが、もちろんそんなものでひるんではくれない。


むしろ余裕さえ感じる。


「そう怒るな。あの者や賊どもを排除してまで貴様にしたい話があったのだから」


そして驚くべきことを言った。


「貴様…徳川につかないか?」