「気付いたか」


血の滴る鎌を持って不気味に笑う半蔵さんだった。


「この部屋は見せるつもりはなかったんだがな」


そう言いながら鎌を持ったままゆっくりこっちに寄ってくる。


「こ、来ないで!」


私が必死に叫んでも半蔵さんは足を止めてくれない。


「安心しろ。この前みたいなことはしないつもりで連れて来た」


そんなこと言われたって、鎖鎌なんか持って微笑まれてちゃ信じられないよ。


「嫌あ!」


「ほう。やはり貴様の怯えた顔はいい。こちらまでぞくぞくする」


そう言って私の顎をくい、と持ち上げる。


「殺すつもりはなかったが、もっとその顔を見せてもらおう」


「やめて!」


逃げようとするが、それよりも一瞬早く腕がつかまれる。


「離してっ」


力の限り腕を振るが、やはり私では男性の力には敵うはずがない。


ついに壁に押さえ付けられてしまった。


「嫌…」


目の前には血塗れの鎌を持って残酷に微笑む冷酷非情な忍がいる。


すさまじい恐怖で涙がぽろぽろと溢れた。


「左近様…」


頼っちゃいけない。


これ以上迷惑をかけたくない。


困らせたくない。


そう思うのに呟いてしまう、大好きな人の名前。


そんな私をあざ笑うかのように、半蔵さんはさらに残忍な笑みを浮かべた。


「残念だが、あの者は来ない。私がはめたからな」


「えっ!?」