台所へ続く廊下を歩きながら、私は左近様のことを考えていた。


「まあまあ。何なら手取り足取り教えてあげましょ?男女の情愛ってのを」


女の扱いに慣れていて。


「小娘だと、褥の上のことを一から教えてやらなきゃならないんでね」


いやらしくて。


「そんな可愛い顔、他の奴には見せないで下さいね?」


いきなり言われ慣れないことを言って戸惑わせる。


だけど。


「もう俺達がいるから大丈夫ですよ。だから心配しないで」


いつも守ってくれる。


元々戦国時代の武士の生き様に憧れてはいたけれど、左近様じゃなければこんなに胸を焦がされることはなかっただろう。


左近様と一緒なら、私は…。


「友衣」


向こうから静かに三成様が歩いてきた。


「あっ、三成様」


「どうした」


「左近様に頼まれてお酒を持って行こうと思って」


「あいつ、昨日だか一昨日だかだいぶ飲んでいたはずだぞ。やめておけ」


「あれ、そうでしたっけ。ですが頼まれましたし」


最近忙しくて左近様の部屋に行けなかったから知らなかった。


「オレから言われたと言えばいい」


「…分かりました」


まあ、飲み過ぎは体に良くないしね。


「ところでオレの部屋に来い」


「え、でも左近様が待ってますし」


「オレから言われたと言えばいい」


同じことを繰り返して三成様は私を半ば強引に部屋に連れていった。


何だろう。