その後も相手に点を取らせず、二回裏、1アウトランナー1塁で俺の番がきた。
海「翔也ー!リラックスリラックス!」
スタンドから海斗の馬鹿でかい声が聞こえる。
公式戦初打席。
心臓が飛び出しそう…。
一球目、ど真ん中ストライク。
二球目、ストレートかと思って振ったらえげつないスライダー。
打席立って早々追い込まれた…
「ちょっと!いつもの冷静さはどうしたんだよ!ちゃんとボール見なさい!」
美愛の声がした。
ベンチを見ると、スコアを持って頬を膨らます美愛がいた。
冷静さを失ってんのはどっちだよ。
俺は苦笑いして監督を見る。
思い切り打て
サインはそれだけ。
ボールを見る…
思い切り打つ…
ボールは曲がらない。
ストレート!
力の限りバットを振る。
カキーン!!
白球が高々と飛んでいく。
俺はひたすら走る。
打球はレフト方向。
レフトが後ろに走る。
『越えろ!!!』

