「せんせぇ~、ここわからぁ~ん」

そぉいって、甘えた声で久米先生を呼んだんは
ウチと同じく久米先生が担当してる
中学3年生の菊田 愛梨(きくた あいり)ちゃん
ウチとは違う中学校の子
愛梨ちゃんは可愛くって
天然でスタイル抜群の女の子
でも、ウチよりおバカ...

「あんなぁ、自分で考えてからゆぇ!」

「えぇ~、考えたよぉ~!!」

愛梨ちゃんと先生は言い合いをはじめてもーた

「だーちゃん!これわからへん!!」

次に先生を呼んだんは
もぉ1人、先生の担当の
川田 亜美(かわだ あみ)ちゃん
この子も3年生でウチとは同じ中学校
亜美ちゃんは背が高い
ポニーテールがよぉ似合う
おもしろくってかわえぇ女の子

まぁ、2人とも体育会系のウチとは違う
女の子らしぃ女の子ってコト

2人は受験生やから
先生は2人につきっきり
せやからウチはなるべく先生に迷惑かけへんよぉ
1人で頑張っとる

「飛鳥さん、全然見れんくてゴメンな」

「えぇょぉ~」

「どっかわからんとことかある?」

ウチは先生にそぉ聞かれて
今悩んでる問題を見た

「...うぅん!大丈夫!!」

ウチは笑って
シャーペンを持ち直した

「せんせぇ~!」

「だぁーちゃん!!」

2人の声が重なる

「わぁーった、わぁーった!!」

ウチは苦笑いしながら
ノートに目線を戻した

「飛鳥さん、今日急いどる?」

「んーん、別急いでへんよ」

「じゃぁ、授業終わったら残っとい…」

「だーちゃん!!これ授業終わるまでに終わらへん!!」

「あー、ウチもぉ~」

亜美ちゃんと愛梨ちゃんが先生に助けを求めた

「ゴメン飛鳥さん...やっぱなんでもあらへんわ」

先生は申し訳なさそぉに
苦笑いした

「んーん、いーよ」


キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴って
先生はまだ亜美ちゃんと愛梨ちゃんを
交互に教えてる

「じゃぁ先生、ウチ帰るわ」

「お、おぉ、今日はホンマスマンかったな」

「何が?仕事頑張ってな」

ウチは余裕ぶって
笑顔で塾を出た
先生の表情は安心してた

「...まぁ、えっか」

ウチはモヤモヤする
曇りがかった心を投げ捨てて
自転車にまたがった
自転車をこぐと夜の風が顔にあたって
気持ちえぇ

「あぁぁぁぁぁぁぁあ!!!明日も頑張れじぶーん!!」

そぉ叫んで
ウチは自転車のペダルを
思いっきり踏んだ
夜空には
まんまるい月が夜道を照らしてた