ウチは、超ヒマな数学の授業を
何も聞かんと部活のことを考えてた
ちなみにウチのクラスの数学担当は
部活の顧問の石角 勝(いしかど しょう)
バレー部の部員だけ下の名前で呼んでくる

「鳥...飛鳥!!」

「はぃ!?あ、ブロックはひじをしめて腹をへこませてします!!」

「はぁ!?」

「えっ...あ...」

周りから聞こえる笑い声
先生の驚いた顔
愛梨と由樹の爆笑
雪麻の馬鹿にした顔が見える

「飛鳥、おまえ部活のこと考えてくれるんは嬉しいけどな、今は数学の時間やで!?」

「サーセン...」

ウチは真っ赤になった顔を下に向けた

「授業聞いてへんみたいやったから、これは雪麻!!お前が解け」

「えっ、はぃ...」

雪麻は困った顔で黒板に向かった
雪麻はウチより頭が良くて
いっつもウチのこと見下してくんねん
黒板の前でチョーク持って止まってる雪麻に
ヤジがとばされる

「おいこら、はよとけやぁー!!」

「お前、オレより頭えぇんやろー!!」

男子を敵に回すとこーゆことになんねんで...
いっつも男子を見下してっからや


ガタッ


「飛鳥??」

愛菜がいきなり席を立ったウチを
不思議そぉに見た
ウチはなんも言わんと
黒板の前でチョークを握った


カッカッカッ...


ウチの走らせるチョークの音だけが
教室に響く

「はぃ先生、解けたで」

「...あってるわ」

ウチは黙って席に着いた

「スゲー!!オレわからへんかったのに!!」

「中岡やるなぁ!!」

「飛鳥スゴー!!!」

さっきのウチのバレーバカ発言の時とは
打って変わって
男子たちの驚いた声
愛菜と由樹の嬉しそうな声
周りの女子の感心した表情...
それになにより、雪麻のあの
悔しそうな顔!!

「まぁ、簡単やったで」

ウチはニヤニヤ笑って
椅子の上であぐらをかいた
まぁ、ウチがこの問題解けたんは
久米先生のおかげやけどな

先生のおかげで
たいていのことは授業聞かんでもわかる
感謝やわ