学校で落ち着く場所は
屋上やなぁ
誰もこぉーへんから

ってゆー理由で今も屋上で一人

「おぃ、飛鳥!!」

「ほぇ?」

ウチの後ろから声かけてきたんは
男子バスケ部所属
幼馴染で一つ年上の
生田 慧(いけだ けい)

「慧ちゃんやん!!」


ギュッ


慧ちゃんはウチを背後から抱きしめた

「おぇー!!慧ちゃん苦しい!!」

「寒いねん!大人しくしとき!!」

昔っからこうやねん
慧ちゃんはいつでも寒ないくせに
寒いゆーてウチの首絞めるみたいに抱きついてくる

「なぁ、慧ちゃん?」

「何?」

「慧ちゃん好きな人おる?」

「あぁっ?」

沈黙が続いとったけど
慧ちゃんが口を開いた

「おる...」

「はぅあ!!」

「ギャっ!!!いきなり離れんな!寒い!」

ビックリしすぎて
変な声と共に慧ちゃんから離れてしもた

「戻ってこいバカ飛鳥」

「ぬぁっ!!バカちゃうわ!!」

ウチはしばらく考えてから
慧ちゃんトコに戻った

「なぁ、好きな人おるんやったらコレはマズない?」

「えぇねん幼馴染なんやから」

「...せやな?」

ウチは慧ちゃんの腕の中に
すっぽりおさまってしもてる
昔っから変わらん温もり
やっぱ慧ちゃんって
体温低いんやんな

「慧ちゃん...」

「ん?」

「大好き!」

「ん、俺も飛鳥のこと好っきゃで」

慧ちゃんには言えんのになぁ...
久米先生には言えんねんなぁ...
人間の口って不思議やんな

「なぁ飛鳥、頼みごとがあるねんけど」

「何?」

慧ちゃんがウチに頼み事なんて
珍しいわ

「最近1年の女子に告られるねんけどな、やめてほしいねん」

「...で?ウチはどーすれば?」

「俺に寄り付かんようテキトーに話しといてくれへん?」

何やて!?
ウチ、カンケーないことないか!?
ウチがポッカーンとしてると

「ほな、頼むわー」

そう言って慧ちゃんはウチから離れて
手ヒラヒラ振りながら屋上を出てった